対象: 新Office365 Office 365 Enterprise, Office 365 Business, Office 365 Education
(この記事は 2015 年 4 月 17 日に Office Blogs に投稿された記事 Enhanced non-delivery reports (NDRs) in Office 365の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
今回は、Office 365 チームのシニア プログラム マネージャーを務める Kevin Shaughnessy と、テクニカル プロダクト マネージャーを務める Shobhit Sahay の記事をご紹介します。
どの電子メール サービスやシステムでも、送信した電子メール メッセージを配信できなかった場合には配信不能レポート (NDR、バウンス メッセージとも呼ばれます) が返ってきます。NDR にはメッセージが配信されなかった旨が記載されますが、以降の箇所は大半がコンピューター サイエンスのプロフェッショナル向けの専門用語で埋め尽くされており、一般ユーザーには理解しがたいものです。このため、一般ユーザーは自力で問題を解決するべく Web を検索したり、フォーラムに質問を投稿したりして、発生している問題やその解決方法に関するヒントを探す羽目になります。この 30 年間でテクノロジは著しく進歩しましたが、NDR の現状は 1982 年からそれほど変わっていません。不必要なまでに技術的で、現代の電子メール ユーザーには不親切です。しかし、それもようやく変わろうとしています。
今後数か月のうちに、Office 365 によって生成される NDR は、メッセージ配信の問題についてわかりやすく簡単に解決できる内容を記載するように強化される予定です。まず、従来の NDR の味気なく技術的なデザインは、親しみやすく見やすいものに変更されます。問題とその原因をわかりやすい言葉で説明し、問題を解決するための明確な手順も示されます。また、問題の概要とその問題を解決するべき責任者 (送信者側、受信者側、マイクロソフトのいずれか) をひとめで確認できるインジケーターが含まれます。今回 NDR を変更する主な目的は、コンピューター プロフェッショナル以外のユーザーにも役立つものとすることですが、エラーの詳細やメッセージ ヘッダーなどといった技術面も刷新され、電子メール管理者や技術サポート担当者にも同様にメリットがあります。
強化された NDR のエンドユーザー向けセクションの例
ここからは、今回の更新によるメリットを最大限に有効活用していただけるように、強化された NDR の各要素について詳しくご紹介します。
Office 365 のロゴ
強化された NDR の最上部には Office 365 のロゴが掲載されています。
これは、エラーの原因が Office 365 にあることを示すものではありません。単に、この NDR が Office 365 によって生成され、送信者または受信者のいずれかが Office 365 でホストされていることを表しています。従来の NDR では電子メールのやり取りに関与しているメッセージング エンドポイントまたはサービスが明示されない場合や不明な場合がありましたが、このロゴが掲載されることで明確になり、混乱を回避できます。
原因セクション
強化された NDR には、新しく原因セクションが追加され、メッセージが配信されなかった原因をわかりやすい言葉で簡単に説明しています。
原因については簡潔に記載されます。多くのユーザーは、メッセージが送信されなかった理由について技術的な詳細をすべて把握したいわけではなく、すぐに問題を解決して本来の作業に戻りたいと望んでいるからです。そのため、メッセージが配信されなかったこと、問題の内容、解決方法だけがわかれば十分なのです。
問題解決責任者インジケーター
これまでは NDR を受信しても、だれが問題を解決する必要があるのかを判断することは難しく、長時間かけて調査した末に、問題の原因が電子メールをやり取りしている相手サイドにあると判明するというケースも少なくありませんでした。しかし、問題解決責任者インジケーターを確認すれば、責任の所在を明らかにするために無駄な時間を費やす必要がなくなり、すぐに適切な責任者に問題を通知することができます。問題解決責任者インジケーターは原因セクションの直下に表示され、問題の概要と、だれがその問題を解決する必要があるかがひとめで把握できます。
このインジケーターには、Office 365 の電子メールのやり取りにおける 3 種類の主要な「当事者」、つまり、送信者、Office 365、受信者が表示されています。赤くマークされた部分は、問題を解決する必要のある責任者を示し、問題の概要についても簡単に記載されます。上図の例では、送信者 (kevin) が古くなった受信者のアドレス情報を修正する必要がある旨が通知されています。
次の例では、受信者側が問題を解決する必要があることが示されています。
この例では、1 点目の例と同じく送信者の表示名は kevinですが、受信者側には受信者のエイリアス名ではなく、contoso.comというドメイン名が表示されています。これは、受信者ではなく、contoso.com の電子メール管理者がドメイン レベルで問題を解決する必要があることを意味しています (匿名ユーザーからのメッセージを拒否するようにドメインが設定されている場合など)。なお、受信者自身が問題を解決する必要がある可能性が高い場合には、ドメイン名ではなく、受信者のエイリアス名が表示されます。
また、問題の原因として考えられる要素が受信者と送信者の両サイドに存在している場合などには、責任の所在が正確に判断できないこともあります。そのため、インジケーターの内容は、多くの場合適切なものですが、常に正確とは限りません。
ご説明したとおり、問題解決責任者インジケーターでは、問題の概要と考えられる解決方法をすばやく把握できます。その次に表示されるセクションでは、問題解決の詳細な手順とガイドを確認できます。
解決方法
強化された NDR の [How to Fix It] セクションは、主に NDR を受信したエンドユーザーを対象としています。問題を解決する方法について、わかりやすい言葉で説明しています。
しかし、メッセージの送信者がすべての問題に対処できるわけではありません。場合によっては、送信者側の電子メール管理者、メッセージを送信したメーリング リストの所有者、受信者、受信者側の電子メール管理者、マイクロソフト サポートなど、送信者以外が解決する必要があります。Office 365 では、送信者が自力で解決できないと判断した場合、修正が必要な内容を簡潔にまとめ、解決できる責任者にその情報を転送するように送信者に促します。
電子メール管理者向けの詳細情報
NDR の上部のセクションは主にエンドユーザーを対象としたものですが、その次のセクションは電子メール管理者や技術サポートに向けた内容となっています。[More Info for Email Admins] セクションでは、問題と解決方法を詳細に説明します。通常は追加の技術的な詳細が含まれるほか、多くの場合、さらに詳細な手順と参考情報をまとめた Web 上の記事へのリンクが含まれます。
このセクションの中には、元のメッセージの詳細とエラーの詳細についてのサブセクションが含���れているため、最も重要な技術的な詳細を簡単に確認できます。これらのセクションに含まれる情報は、マイクロソフトにサポートを依頼する場合に特に役立ちます。NDR に関してマイクロソフト サポートに問い合わせる際には、NDR メッセージを丸ごと転送してください。しかし、何らかの理由によって全文を転送できない場合には、[Original Message Details] および [Error Details] の情報を提供してください。これらの情報さえあれば、問題解決までの時間を大幅に短縮することができます。
このセクションの説明は、主に送信者側の電子メール管理者を対象としていますが、受信者側の電子メール管理者 (必ずしも送信者側の電子メール管理者と同一ではありません) に最もよく該当する内容である可能性があります。その場合には問題解決責任者インジケーターを使用して、この情報がどちらの電子メール管理者に有用であるかを判断してください。
メッセージ ホップ
最後に、元のメッセージのヘッダー (古めかしいモノスペースのフォントで改行せずに書き連ねたもの) は強化された NDR の下部にも表示されますが、[Message Hops] セクションにも見やすく整形したものが表示されます。これにより、メッセージのサーバー間のホップ経路を簡単に追跡し、メッセージ ホップの途中で発生した問題をすばやく特定することができます。
なお、Office 365 のすべての NDR が、すぐに新しい形式で生成されるわけではありません。今後数か月のうちに、Office 365 によって生成される NDR の大半が強化された形式に変更される予定です。もちろん、メッセージが正常に配信されるに越したことはありません。しかし、正常に配信されなかったときに、コンピューター サイエンスの学位を持っていないと原因や解決方法を理解できないというのはおかしな話です。Office 365 の強化された NDR によって、正常に配信されなかったメッセージの問題を簡単に理解して解決し、これまで以上に短時間で本来のタスクを再開できるようになります。
—Kevin Shaughnessy、Shobhit Sahay