対象: 新Office365 Office 365 Enterprise, Office 365 Business, Office 365 Education
(この記事は 2015 年 4 月 15 日に Office Blogs に投稿された記事 Office 365 now supports larger email messages—up to 150 MBの翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
今回は、Office 365 チームのシニア プログラム マネージャーを務める Kevin Shaughnessy と、テクニカル プロダクト マネージャーを務める Shobhit Sahay の記事をご紹介します。
ここ数年間、Office 365 で送受信できる電子メール メッセージは最大 25 MB でした。25 MB というサイズは、ほとんどの電子メールにとっては十分すぎるほどですが、大きなプレゼンテーション、スプレッドシート、動画は、この制限により送信できない場合もあります。Office 365 の Outlook Web App (OWA) では、簡単な方法で OneDrive for Business の保存場所へのリンクを送信する形でドキュメントを「添付」することができます。これは、サイズの大きなファイルを共有する場合にたいへん便利な機能です。しかし、リンクではなく、実際の添付ファイルとしてサイズの大きなファイルを送信したいときもあります。こうしたケースを想定して、今回メッセージ サイズの上限を 150 MBに引き上げました。Office 365 管理者は、最大メッセージ サイズを 1 MB ~ 150 MB の間に設定することができます。
なお、Office 365 メールボックスの既定のメッセージ サイズは 25 MB のままです。既存アカウントの設定をマイクロソフト側で変更することはありません。これは、25 MB よりもさらに小さいサイズの設定を希望しているお客様がいらっしゃることと、多くのお客様が現在の設定を変更したくないと考えていることが判明したためです。そこで、すべてのお客様に一律なサイズ設定を強制するのではなく、Office 365 のお客様が各自に適した最大サイズを自由に選択できるようにしました。
最大メッセージ サイズのカスタマイズ
あらゆるメールボックスのメッセージ サイズの上限を適切なサイズにカスタマイズすることができます。たとえば、すべてのユーザーに 100 MB のメッセージの送受信を許可することも、学校で生徒には最大 5 MB、教員には最大 50 MB の送受信を設定することも可能です。また、電子メールをハイブリッド (一部のメールボックスはオンプレミス、一部のメールボックスはクラウド) に展開していて、双方の環境にあるすべてのメールボックスに一貫して 10 MB の制限を設けるシナリオにも対応しています。1 MB ~ 150 MB の範囲内であれば、1 つまたは複数のメールボックスを指定しても、すべてのメールボックスに対しても、自由にカスタム構成を適用することが可能です。
メッセージ サイズのカスタマイズは、Exchange 管理センターで実行できます。これには、グローバル管理者権限が必要となります。
組織全体の既定のサイズを変更するには、既定のメッセージ サイズ制限を調整します。[recipients] > [mailboxes] > […] の順にクリックして [Set default message size restrictions] を選択します。
ここで、新規メールボックス (今後作成するメールボックス) の最大メッセージ サイズを指定できます。
複数のメールボックスの設定を変更するには、[recipients] > [mailboxes] の順にクリックして複数のメールボックスを選択します。次に、[Bulk Edit] ウィンドウの [Message Size Restrictions] で [Update...] を選択します。
単一のメールボックスのみの設定をカスタマイズするには、[recipients] > [mailboxes] の順にクリックしてユーザーのメールボックスを 1 つ選択します。編集アイコンをクリックし、[Message Size Restrictions] で [View details] を選択して最大メッセージ サイズを指定します。
Exchange 管理センターまたはリモート PowerShell の使用
お客様の組織で使用しているメールボックスの数が 1,000 以下である場合は、おそらく Exchange 管理センターのユーザー インターフェイスを使用して変更を行うでしょう。しかし、1,000 人以上のユーザーを抱える組織で変更を行うなら、リモート PowerShell を使用することをお勧めします。何千ものメールボックスを一度に更新すると、完了までに時間がかかります。大まかな目安としては、メールボックス 1,000 個につき 5 ~ 10 分です。また、サービス全体に更新を反映する作業に通常さらに 15 分ほどかかり、新しい設定をテストするには更新プロセスの完了後 30 分以上経ってから行う必要があります。
以下に、リモート PowerShell でこれらの設定をカスタマイズする場合に使用する一般的なコマンドの例を挙げます。
操作 | コマンド |
単一のメールボックスを更新する | Set-Mailbox -Identity エイリアス@��メイン名 -MaxSendSize 75MB -MaxReceiveSize 75MB |
複数のメールボックスを更新する | ("エイリアス", "エイリアス 2", "エイリアス 3") | % {Set-Mailbox –Identity $_ -MaxSendSize 75MB -MaxReceiveSize 75MB} |
すべてのメールボックスを更新する | Get-Mailbox | Set-Mailbox -MaxSendSize 75MB -MaxReceiveSize 75MB |
既定の設定を更新する (今後作成するメールボックスの設定) | Get-MailboxPlan | Set-MailboxPlan -MaxSendSize 75MB -MaxReceiveSize 75MB |
技術的な詳細
25 MB よりも大きなメッセージを送受信する場合には、数点の技術的な詳細について理解しておく必要があります。
まず、メッセージは、メール システム間で転送されると元のサイズよりも大きくなる可能性があります。これは、異なるメール システムを経由するときにトランスコード (Base64/MIME の変換) が発生する場合があるためです。特にオンプレミスの Exchange とクラウドの間で転送されるケースに多く見受けられます。トランスコードの結果、メッセージのサイズは送信時よりも 33% 大きくなります。今回、メッセージ サイズの上限が 150 MB に引き上げられましたが、これはトランスコードが発生した後のメッセージ サイズの上限です。メッセージがトランスコードされる場合、送信できるメッセージ サイズは最大 112 MB に制限されます。ただし、すべてのメッセージに対してトランスコードが実行されるわけではありません。たとえば、Office 365 内にホストされているメールボックス間で送信されるメッセージの大半はトランスコードされないため、150 MB の限度いっぱいのサイズにも対応できます。
次に、電子メール クライアントによって、大きなサイズのメッセージ送信のサポート状況は異なります。たとえば、Outlook では、トランスコードが発生しない場合、150 MB のファイルを添付して送信できます。そして、送信先もクラウドでホストされており、150 MB のメッセージを受信するように設定していれば、そのメッセージを受信することができます。しかし OWA では、送信できるメッセージのサイズが、設定された最大送信サイズの 75% に制限されています。これは、トランスコードによりメッセージ サイズが増加する可能性を前もって考慮しているためです。たとえば、最大送信サイズを 100 MB に設定して OWA を使用した場合、最大 75 MB のメッセージしか送信できません。また、OWA では各添付ファイルのサイズが最大 25 MB に制限されているので、最大送信サイズを 100 MB に設定して OWA を使用する場合には、1 件のメッセージにつき 25 MB のファイルを 3 点まで添付して送信できます。なお、これらの条件は今後変更される可能性があります。各種電子メール クライアントでサポートされているメッセージ サイズの最新情報については、Office 365 の公式ドキュメントを確認してください。
最後に、Office 365 ユーザーが設定を 150 MB にカスタマイズした場合、そのユーザーは最大 150 MB のメッセージを送受信できても、他のユーザーはできない可能性があります。送信先のメールボックスが大きなメッセージ サイズをサポートしない別の電子メール サービスまたはシステムでホストされていたり、Office 365 ユーザーであっても設定を変更していなかったりなど、理由はさまざまですが、送信先のユーザーは大きなサイズのメッセージを受信できない場合があります。そのため、メッセージが 25 MB を超える場合には、事前に送信先のユーザーに確認するようにしてください。
—Kevin Shaughnessy、Shobhit Sahay