対象: Office 365 Enterprise, Office 365 Small Business, Office 365 Midsize Business
(このブログは Japan Office Official Blog に 2012 年 12 月 6 日に投稿された記事のクロスポストです。)
Jeremy_MSFT
Jul 17 2012, 16:07 P7
Office 365 ProPlus は、既存の Office ファイルやアドイン、依存関係があるアプリケーション、およびその他のカスタマイズと互換性を持つように設計されています。また、IT 企業が Office プログラムの構成やパフォーマンス、正常性といった特性を維持し、新規バージョンの Office をすみやかに採用できる、新たなツールも提供されます。新しい Office テレメトリ ツールでは、管理者が問題のトラブルシューティングをエンドポイント レベルで迅速に行ったり、Office プログラムを組織で一元的に監視および管理したりすることができます。さらに、並列サポートを利用することで複数のバージョンの Office をインストールできるため、旧バージョンの Office から Office 365 ProPlus への移行に役立つ有効な手段となります。何らかの理由で旧バージョンの Office に依存関係があるときには、いつでもそのバージョンに戻すことができます。
Office テレメトリ
Office に新たに導入されたテレメトリ機能は、管理された IT 環境で Office プログラムの正常性を維持するための主要な機能であり、以前のバージョンの Office から移行する際にも役立ちます。テレメトリ情報は Office デスクトップ アプリケーションと統合され、Excel ベースのスプレッドシートである Office テレメトリ ログを使用してアクセスできます。Office テレメトリ ログを使用すると、ソートとフィルタリングが可能な形で Office のイベントについて報告され、これにより IT 管理者は PC 上のローカルな問題を迅速にトラブルシューティングすることができます。Office テレメトリ ログで報告されたイベントを中央やデータ処理サービスに送信すれば、組織全体を包括的に把握することも可能です。これは、Office を使用するとき、また旧バージョンの Office や旧バージョンの Office で作成されたファイルに関するカスタマイズや互換性を評価するとき、パフォーマンスや互換性の特性を維持するうえで重要になります。新しい Office では、各 Office バージョン間での互換性をファイル レベルで維持することを意図していますが、互換性の欠如が明らかになった際には IT 管理者に Office テレメトリから警告が送られるので、問題を修正し、回避する決定を予防的に行うことができます。
テレメトリダッシュボードガイドによりテレメトリ機能と実装方法が説明される
Office 365 ProPlus のテレメトリ機能は 5 つの主要コンポーネントで構成されています。
1. インベントリ エージェント
2. 共有フォルダー
3. テレメトリ プロセッサ
4. データベース
5. テレメトリ ダッシュボード
インベントリ エージェントは、新しい Office 365 ProPlus プレビューおよび Office Professional Plus 2013 プレビューに統合されています。既定ではインベントリ機能はオフに設定されていますが、インストール後、または Active Directory のグループ ポリシー制御を使用して有効化することができます。インベントリ エージェントは Office 2003 およびそれ以降のクライアントでも使用できます。ただし、移行プロジェクトを目的としているため、継続的な正常性管理やパフォーマンス管理には向きません。インベントリエージェントは Office テレメトリ ログから情報を収集し、Office のアドイン、カスタム コード (COM およびブラウザー ヘルパー オブジェクト)、アプリケーションなどのカスタマイズ情報を検出します。さらに、製品のバージョンやアーキテクチャに関する報告も行います。
Office テレメトリログは、Windows に格納された Office イベントを収集して Excel で表示させる
インベントリ エージェントが有効に設定されている場合、IT 管理者は共有フォルダーの場所を指定してインベントリ エージェントによる出力ファイルを保存することも可能です。データ処理サービスにより、この出力ファイルを処理して、SQL Server データベースにエントリを追加します。さらに、テレメトリ ダッシュボードでは、SQL データベースからのレポート情報が Excel で表示され、Office のバージョンや頻繁に使用されるファイル、エラーやイベント、アドイン、関連ソリューションといった情報を集約的な確認できます。
バージョンの並列サポート
Office は従来から旧バージョンの Office との並列インストールが可能でしたが、その副作用としていくつかの問題が発生していました。たとえば、旧バージョンのプログラムを読み込む際に Office インストールの修復を行うようプロンプトが表示されたり修復が実行されたりする、あるいは、旧バージョンの Outlook や同じフォルダー内にある [スタート] メニューのショートカットが削除されるなどが挙げられます。この点に関しては、その他の問題と併せて KB2121447でも取り上げられています。
Office 365 ProPlus は、旧バージョンの Office との並列サポートが行えるよう設計されています。これにより、旧バージョンの Office をインストールしたまま保持しておき、新しい Office プログラムでファイルがうまく機能しないなどの思わぬ問題が発生した場合には、旧バージョンのプログラムでそのファイルを開くことができるなど、互換性ツールとしての機能を果たします。
Office 2003 と同じシステム上で動作する Office 365 ProPlus
Office のファイル形式 (DOC、DOCX、XLS、XLSX、PPT、PPTX など) における既定のファイルの関連付けについては、Windows 7 では最後にインストールされたバージョンの Office に割り当てられ、Windows 8 ではオペレーティング システムで割り当てられる既定のファイルの関連付けに従います。旧バージョンの Office に既定のファイルの関連付けを割り当てるには、旧バージョンの Office に対するインストールの修復を行います。同様に、Office 365 ProPlus のインストールの修復を行うと、新しいバージョンに再び割り当てられます。Office 365 ProPlus をインストールしておき、ユーザーが慣れるまでは旧バージョンに割り当てたままにしておきたいと考える IT 管理者の方には、これらの手順を自動化するという方法もあります。修復コマンドの自動化に必要なコマンド ラインの記述の詳細については、「Office 2010 の保守のベスト プラクティス」またはそれ以前のバージョンに関する同様の記事を参照してください。
新しいクイック実行インストールにおける既存のカスタマイズ
Office 365 ProPlus は、オブジェクト モデル API、Web サービス/プロトコル、VBA、Office アドイン、ドキュメントレベルでのカスタマイズといった Office プログラムの既存の拡張性モデルをサポートするよう設計されています。実際、並列インストールが実行されている場合、Office 365 ProPlus は Office の以前のインストールで行われていたデスクトップ アプリケーションのカスタマイズを検証し、Office 365 ProPlus プログラムの実行時に、このカスタマイズを読み込みます。リボンのカスタム拡張を含む OFFICEUI ファイルや CUSTOMUI ファイルなどのカスタマイズ情報は %AppData%\Local\Microsoft\Office に保存されています。
以下の例では、Microsoft Office Professional Plus 2010 で Microsoft Word の [Touch (タッチ)] リボン タブをカスタマイズし、”DYMO Label” というサード パーティ製のアドインをインストールしています。Office 365 ProPlus をインストールして Word 2013 を起動すると、[Touch (タッチ)] タブと “DYMO Label” アドインが両方とも使用できます。
並列インストール構成において、Office Professional Plus 2010 でのカスタマイズは Office 365 ProPlus に自動的に適用される
この機能は Office オンデマンド アプリケーションにも利用できます。Office 2007 およびそれ以降が使用されている企業では、ファイルの互換性に加えて、使い慣れたリボン コントロールやこれまで行ってきたカスタマイズが適用できるため、ユーザーは新しい Office に簡単に移行することができます。
その他のリソース
Office テレメトリに関しては、製品と共に、あるいは TechNet 上で多数の新情報が公開されています。TechNet の「Office テレメトリ ダッシュボードを展開する」を参照してください。また Office Next ブログ (英語)でも、Office テレメトリやその他のトピックについてさまざまな情報をご紹介していく予定です。どうぞお楽しみに。