対象: 新Office365 Office 365 Enterprise, Office 365 Small Business, Office 365 Midsize Business
Office 365 が他の同様のクラウドサービスと大きく異なるポイントの一つに、Office ファイルの編集をオフラインで行うことができて、それをシームレスにクラウド上のストレージと同期できるところが挙げられます。これにより、たとえばネットワークにつながらない状態で外出先から作業をするような状態でも、滞ることなく作業を進めることが可能です。オフラインによる作業についても、Office 365では、ユーザーが持っているデータの状況やユーザーのニーズによって、いくつかの選択肢をご用意しています。主な方法は以下に挙げる 3 つの方法になります。
1. SkyDrive Pro 同期クライアントでローカル PC のハードディスクと同期
ローカルハードディスクに余裕がある場合は、一番ユーザービリティがよくわかりやすい方法は、SkyDrive Pro 同期クライアントを使って SharePoint ライブラリまたは SkyDrive Pro 上にあるファイルと、ローカルハードディスクを同期することができます。SkyDrive Pro同期クライアントは、Office 2013 または Office 365 ProPlus に含まれます。もし、これらをお持ちでない場合は、ダウンロードセンターから無料で入手することができます。
ファイルが同期されると、緑色のマークがつきます。ハードディスク上のファイルを更新すると、クラウド上にも自動的に同期されます。また、逆にクラウド上のファイルが更新された場合にも、自動的に新しいファイルがダウンロードされます。同期クライアントを使ってアップロードできるファイルの最大サイズは 2GB です。大きなファイルのやり取りをする場合も、同期クライアントによるバックグラウンドでの同期が重宝します。
この方法はいちばん単純でわかりやすく、多くの人にお勧めする方法です。
2. Outlook の SharePoint リストとの同期
SharePoint ドキュメントライブラリ内の任意のフォルダーのファイルのみ同期したいニーズがある場合は、Outlook と組み合わせて、Outlook のデータファイル内に SharePoint 上のファイルを同期させることができます。
ドキュメントライブラリで同期をしたいフォルダーの中身を表示したら、ドキュメントライブラリのリボンの中にある [Outlook に同期] ボタンをクリックします。
この方法により、Outlook の中の「SharePointリスト」の中に、指定したフォルダー以下のドキュメントライブラリのファイルやフォルダーが階層も含めて同期されます。Outlook のフォルダー内のファイルを選択すると、内容をOutlook内でプレビューすることができます。ファイルをダブルクリックすると、それぞれのOfficeアプリケーションが起動します。
Office アプリケーションが開くと、上側に[オフライン編集]ボタンが表示されます。ファイルをオフラインで編集して更新したい場合は、このボタンをクリックします。
編集中のファイルは、ドキュメント フォルダーの下の「SharePoint 下書き」というフォルダーに保存されます。
エクスプローラーでこのフォルダーを開くと、ファイルの実体を見ることができます。
3. アップロードセンターのキャッシュを使った作業
オフラインに置くファイルを極力最小限にしたいユーザーには、Officeアップロードセンターをうまく使うことをお勧めします。Office 2010 以降では、Office アップロードセンターが実装されており、SharePoint上のファイルはOfficeファイルが直接編集するのではなく、Officeアップロードセンターのキャッシュを通して編集されます。このため、ファイルの編集中にネットワーク接続に問題が生じても、編集中のファイルが失われることなく、キャッシュ内に一時保管され、接続が復元された後に同期されます。
Office アップロードセンターは Office 2010 以降またはOffice 365 ProPlus がインストールされている PC には常駐しています。Windows タスクバー右下のシステムアイコンで、以下のような形のアイコンをクリックすると、Office アップロードセンターの画面を表示することができます。
アップロードセンターを開くと、以下のようなウィンドウが表示されます。
SharePoint 上にある Office ファイルは、Office アプリケーションで開いたときに、保存ボタン () に同期マークがついています ()。このようなファイルは、保存すると、ウィンドウ最下部のステータスバーに、[SharePoint にアップロードしています]という表示がされます。
3-1. オフラインでのファイル保存
さて、ここでファイルの保存時にネットワーク接続がオフラインだった場合にどうなるかについてみてみましょう。保存ボタンを押すと、しばらくして、ステータスバーに以下のような表示が行われます。
Office アプリケーションのBackStage ビューを見ると、[アップロード保留中]の表示が見えます。[競合の解決]ボタンをクリックして、アップロードセンターを開いてみましょう。
Office アップロードセンターには、以下ようにアップロード保留中のファイルがひとつ表示されます。これは、後でネットワーク接続が復旧したときに自動的にSharePointと同期してくれるので、この後特にアクションを行う必要はありません。
3-2. オフラインでのファイルオープン
次に、オフラインでファイルを開く場合を見てみましょう。オフラインでファイルを開くには、過去14日以内に一度でも利用中のPCからOfficeアプリケーションを使ってファイルを開いたことがある必要があります。直近で開いたことがある場合、OfficeアプリケーションのBackstageビューの「最近使った文章」にリンクが表示されます。
リンクをクリックすると、オフラインの場合、Officeアップロードセンターのキャッシュにあるファイルが代わりに開きます。開いたときに、ステータスバーにバルーンが表示され、オフラインコピーであることが通知されます。
3-3. PCに保管されているすべてのキャッシュファイルの表示とキャッシュの調整
アップロードセンターのオプションメニューから、[すべてのキャッシュファイル]を表示させるように選択することで、キャッシュの中にあるすべてのファイルの一覧を見ることができます。
ここに表示されているファイルが、オフライン時にOfficeアプリケーションでオフラインコピーとして読み込めるファイルの一覧となります。このキャッシュが、SkyDrive Pro 同期フォルダーやOutlookのSharePoint リストデータファイルと同じ役割を果たします。この方法の特徴は、ひとつひとつのファイルは、全く別々のドキュメントライブラリにあることです。
キャッシュでファイルを保持する期間は、既定では14日に設定されています。「Office アップロードセンターの設定」ダイアログボックスで、これを最長 30 日まで延長することができます。
参考資料: 3つの方法の比較表
最後に今回ご紹介した 3 つの方法の比較表をご紹介しておきます。それぞれの方法に特徴があり、ユーザーのドキュメント編集スタイルや、編集するファイルが存在する範囲など、条件によって最適な方法を選択してください。
項目 | SkyDrive Pro 同期クライアント | Outlook の SharePoint リストとの同期 | アップロードセンターのキャッシュを使った作業 |
---|---|---|---|
対象 | SkyDrive Pro/SharePoint ライブラリ | SkyDrive Pro/SharePoint ライブラリ/SharePoint リスト (予定表、タスク、連絡先) | SkyDrive Pro/SharePoint ライブラリ |
同期単位 | ドキュメントライブラリ全体 | フォルダー単位 | ファイル単位 |
競合処理 | あり | あり | あり |
ローカルファイルの保管場所 | 指定したローカルパス | Outlook データファイル | 固定パスのキャッシュ内 |
同期タイミング | 随時 | 編集時にチェックアウト/保存時にチェックイン | ファイル保存時 |
扱えるファイルの種類 | 任意 | 任意だが、ローカルからSharePointへの書き込みはOfficeファイルのみ | Officeファイルのみ |
ローカルにおける検索 | エクスプローラで検索可能、ファイルの中身も検索 | Outlookで検索可能、ファイルの中身も検索 | 検索不可 |
リファレンス記事 | SharePoint コンテンツを Outlook と同期する | Microsoft Office アップロードセンター |