対象: 新Office365 Office 365 Enterprise, Office 365 Business, Office 365 Education
(この記事は 2015 年 2 月 2 日に Office Blogs に投稿された記事 Evolution of SharePointの翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
今回は、Office プロダクト マネージメント チームのゼネラル マネージャーを務める Julia White の記事をご紹介します。
お客様やパートナー様からたびたび、SharePoint は Office 365 でどのように進化するのか、オンプレミスの SharePoint の将来はどうなるのか、といったご質問を頂いています。そこで今回は、SharePoint に関する今後の展望をお伝えしたいと思います。2015 年を迎え、Office 365 に新たなイノベーションを続々と展開し、オンプレミス サーバーの次期リリースを間近に控えている今こそ、絶好の機会ではないでしょうか。
当初、SharePoint はチーム サイトに焦点を当てたコンテンツ共同作業ソリューションという位置付けでした。製品が進化するにつれ、ポータル、検索、ビジネス インテリジェンス (BI)、エンタープライズ コンテンツ管理 (ECM) といった新しい機能が追加されました。SharePoint では、これらすべての機能に共通して一貫した管理レイヤーが提供されており、お客様による制御を実現します。また、SharePoint は拡張性の高いプラットフォームとして設計されているので、お客様やパートナー様は、事前設定不要のエクスペリエンスを自由に強化できます。皆様からは主に、機能、管理、拡張性に対してご好評を頂いております。これら 3 つの要素は、SharePoint の取り組みを推し進める中で、サーバーと Office 365 の両方において今後も中心的な役割を果たします。
クラウドを利用することで、SharePoint 内だけでなく、Office テクノロジ全体で機能、管理、拡張性を統合できるようになりました。ようやく、個々の製品の枠を超え一貫した生産性ソリューションとして、お客様やパートナー様により多くのメリットを提供する包括的な機能をお届けできるようになったのです。また、クラウドによって、これまで以上に迅速に新機能を開発して提供できるようにもなっています。同時に、すべての Office エクスペリエンスに共同作業、モバイル対応、機械学習といった機能を直接組み込むことで、ワーク スタイルに新世代の変革をもたらしています。
クラウドにおける SharePoint の進化
現在、クラウド上で Office 365 と共に SharePoint を進化させており、これまでと同様に機能、管理、拡張性の主要な分野に力を入れると共に、ハイブリッド環境についても重点的に取り組んでいます。しかし、多くのお客様が今後も継続的にオンプレミス環境、ファイアウォール環境、またはハイブリッド環境を業務に利用されることでしょう。そのため、これまでで最も安全かつ安定性と信頼性の高い SharePoint サーバーの次期バージョンを構築して、企業のお客様がニーズに合わせてクラウドのイノベーションを活用できるように尽力しています。
Office 365 では、Office テクノロジ全体で機能を統合し、メール、インスタント メッセージング、従来の SharePoint などのサービスに加えて Office Delve や Office 365 Video といった新機能を実装しています。同時に、これらすべての機能の管理性と拡張性を実現する主要な IT 機能および開発機能を維持し、強力なハイブリッド接続を確立しています。
機能
検索、コンテンツ、チーム サイトといった従来の SharePoint 機能、そして基盤となる優れたプラットフォームに加えて、対象を明確にした新しい機能が Office 365 で提供されています。これらの機能には、共同作業支援 (常に接続された世界でチームをつなげる)、モバイル対応 (あらゆるデバイスで真の生産性を実現する)、インテリジェンス機能 (コンテキストに応じて関連性の高いカスタマイズされた情報を提供する)、すぐに利用可能 (成果を得るまでの時間を短縮する)、クロススイート (Office 365 の機能を統合し、従来の製品間の境界を取り除く) といった特徴が挙げられます。
それでは、具体的にご理解いただくために、現在取り組んでいる技術革新の一部をご紹介します。
- 検索: 従来のエンタープライズ検索を超える Office Delveは、Office 365 のデータから関連性の高い情報を見つけ出したり関係性を把握したりするための新しい手段であり、予測検索機能を利用することも可能です。Delve は、Office Graph が引き出したインサイトに基づいて、ユーザーと関連性の高いコンテンツを認識し、適切なタイミングで適切な情報を提供します。
- ポータル: マイクロソフトのお客様は長年にわたって、機能が非常に充実した動的なポータルを構築されてきました。これまでお客様はポータルの構築に数週間から数か月を要していましたが、マイクロソフトは新たに「すぐに利用可能な」ポータルとして提供できるように、ポートフォリオの拡張に取り組んでいます。次世代ポータルは、インテリジェンス機能、共同作業支援、モバイル対応を実現し、すぐに利用できるように設計されています。2014 年にリリースされた Office 365 Video は次世代ポータルの第 1 弾です。2015 年には、ナレッジ管理やユーザーに焦点を置いた新しいポータルも追加される予定です。
- ファイル: SharePoint の汎用ドキュメント ライブラリに加えて、OneDriveでは個人用のファイルを 1 か所に簡単に保存して同期し、デバイス間で共有することができます。IT 部門が求めるセキュリティ、信頼性、管理性にも徹底的に対応しています。OneDrive を利用することで、最終的には個人用ファイル サーバーやローカル ハード ドライブは不要になり、企業全体でより簡単に共有および共同作業を実現できるようになります。先日、iOS および Mac 向けの更新および新機能もリリースされました。
- チームサイト: Office 365 では、チーム サイトのコンセプトが拡張されました。その際に、従来は SharePoint に保存されていたチームのコンテンツを、メール、インスタント メッセージング、タスク、連絡先、個人用ファイル、ソーシャル フィードなど、Office 365 のさまざまな情報と統合できるようになりました。この Office 365 全体にわたる包括的なチーム エクスペリエンスにより、ユーザー権限の簡素化、包括的な管理、ガバナンス、拡張性モデルが実現され、IT 部門とユーザーの両方にメリットがもたらされます。
- BI: ユーザーや IT 部門が数分で運用を開始できるように事前設定不要なソリューションを作成するというマイクロソフトのビジョンが、Power BI (英語)によって前進しました。Office 365 を基盤として構築された Power BI は、クラウド内の統合分析プラットフォームを提供し、ユーザーは使い慣れた Excel インターフェイスを通じて、さまざまな場所にある重要な情報にアクセスすることができます。
- ソーシャル: ソーシャルは、単体のニュースフィードから Office 365 全体にわたるイマーシブなエクスペリエンスへと進化しています。Office 365 の一部である Yammer を利用することで、ユーザーが最も重要な会話に参加したり、チームでアイデアを迅速に検討したり、企業全体に広く働きかけたりすることが容易になります。ユーザーがより動的な新しい方法で業務を進められるように、Yammer の機能を Office のドキュメントやビデオだけでなく、Dynamics CRM や Salesforce.com といった一般的な基幹業務アプリケーションと統合し、各種プラットフォームに対するモバイル アクセスを提供しています。
管理
マイクロソフトは、複雑なビジネスおよび IT の要件を十分に理解しています。また、管理、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスが重要な課題であるということも承知しています。そのうえで、Office 365 またはオンプレミス、あるいはその両方を利用するどのお客様にも業界最高レベルのエンタープライズ クラス プラットフォームを提供できるように尽力しています。SharePoint の進化の中核として、単一の管理レイヤーからすべてのユーザー エクスペリエンスを管理できるようになりました。この管理レイヤーを拡張し、SharePoint、Exchange、Lync、すべての新機能に加えて Office 365 全体で、コンプライアンス、管理、IT 統制のエクスペリエンスを統合しました。今後も、データ損失防止 (DLP) やモバイル デバイス管理 (MDM) などの機能のほか、Rights Management、多要素認証 (MFA)、電子情報開示、法的情報保留、メタデータ管理、ポリシー制御といった機能の改良を続け、強固かつ安全で信頼性の高いプラットフォームを提供してまいります。
拡張性
SharePoint が現在の形にまで発展できたのは、このプラットフォームを基盤として拡張やカスタマイズを行ってきた世界 340 万人を超える開発者の皆様のおかげです。これは進化を続けても変わることはありません。クラウド向けの開発は手法が異なりますが、マイクロソフトは、お客様やパートナー様がニーズに合わせて新しい革新的なアプリケーションを構築したり、カスタマイズを行ったりできるようにしたいと強く望んでいます。そのために、SharePoint 2013 で導入されたアプリ モデルを引き続き発展させ、より多くのカスタム機能を追加すると共に、充実した Office 365 API によって SharePoint のデータへのアクセスを容易にするべく取り組んでいます。今後もこれらの API の強化を行うと同時に、まったく新しい API (Office Graph や Office 365 Video など) を本格的に導入することで、さらに統合のレベルを深めてまいります。これにより、IT 部門や開発者の皆様、そしてパートナー様は、利用者に合わせてより高度なカスタマイズを実現できるようになるでしょう。
Office 365 で日々 SharePoint のデータとの統合や接続を行うアプリおよび API を使用しているお客様の数は急増しています。多くのお客様が、マイクロソフトのオープン ソースの Patterns and Practices (英語)プロジェクトで提供されるトレーニング、ガイダンス、コードを活用することで、以前はオンプレミスの完全信頼コードを使用して構築していたものと同じくらい高度なソリューションを実現されています。しかし、開発者の皆様のニーズはさらに拡大しており、マイクロソフトでは皆様からのフィードバック (英語)を大いに参考にしています。SharePoint を使用して新しい機能や統合を開発する機運は、かつてないほど高まっています。開発の技術革新パイプラインにより、開発者の皆様の障害を取り除き、さらなる可能性がもたらされます。ぜひ新たな開発に向けてご準備ください。
ハイブリッドおよびオンプレミス展開
クラウドへの移行を一度にすべて行うことはできません。SharePoint Online に対する需要が高まる一方で、お客様の要件はさまざまであり、一部のケースでは既存の SharePoint Server の環境を維持することが適切な判断となる場合もあります。マイクロソフトは、引き続きこういったニーズにもお応えしてまいります。自信をもってお届けする次期バージョンのオンプレミス版 SharePoint は、皆様にもきっとご満足いただけるはずです。このバージョンは、SharePoint Online と同様に、マイクロソフトのサービスとしてのソフトウェア (SaaS) 戦略を中心に設計、開発、テストされています。これによって、SharePoint Server 2016 では、強化された柔軟な展開オプションが提供され、信頼性が向上し、大規模な環境に対応した新しい IT の俊敏性を実現することができます。
また、お客様が独自のペースでクラウド機能を活用できるように、ハイブリッドの領域にも重点的に取り組んでいます。SharePoint のハイブリッド展開では、データセンターとクラウドの両方に対応する一貫したプラットフォームを作成し、IT 管理を簡素化して、デバイスや場所を問わずにユーザーにアプリやデータを提供することで、IT の俊敏性を実現します。SharePoint Server 2016 では、充実したオンプレミスの機能の提供に加え、強力なハイブリッド環境の実現にも注力することで、オンプレミスのお客様に Office 365 のより多くの機能をお届けします。
まとめ
現在、Office 365 と従来のサーバー リリースの両方において、SharePoint は新たな道で進化しています。2014 年は多数の新しい技術革新がリリースされた忙しい年となりましたが、今後も今回の記事で取り上げた以上にさまざまな機能が提供されます。多くの新機能を提供し、管理制御を強化し、全体的な拡張性を向上させると共に、お客様の投資を最大限に活かしていただけるようハイブリッドへの取り組みも行ってきました。
個人的には、マイクロソフトが掲げる Office 365 および SharePoint のビジョンに非常に期待しており、クラウドにおける継続的な技術革新について、2015 年中にさらに多くの情報をお伝えできることを心待ちにしています。さらに、次期バージョンのサーバー製品の詳細についてもご紹介してまいりますので、ぜひ初期段階のフィードバックをお願いいたします。
2015 年 5 月 4 日~ 8 日にイリノイ州シカゴで開催される Microsoft Ignite (英語)では、さらに詳細な情報を多数ご紹介します。非常に優秀な人材が一堂に会し、SharePoint と Office 365 に関するさまざまな情報をお伝えします。現在、SharePoint および関連セッションの一覧 (英語)をご確認いただけます。今後、さらにセッションが追加され、ハンズオン ラボ、すべてのブレイクアウト セッションの講演者、前日のトレーニングの一覧も公開される予定です。皆様のご来場をお待ちしております。
—Julia White