対象: 新Office365 Office 365 Enterprise, Office 365 Business, Office 365 Education
(この記事は 2015 年 1 月 13 日に Office Blogs に投稿された記事 A better way to recover a mailboxの翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
ハイブリッド環境またはクラウドのみの環境に存在するユーザーやメールボックスを削除したとき、その復元作業には手間がかかることがあります。また、復元処理の結果、1 人のユーザーが複数のメールボックスを使用することになったり、一部の電子メールが失われたり、他のサービスと関連付けられているデータが破損してしまったりすることもあります。このような状況になると、多くの場合、トラブルシューティングが難しく、マイクロソフト サポートの支援が必要となります。
Exchange Online には以前から「削除済みアイテム フォルダーへ移動」という機能があり、この機能を使用した場合には、非常に簡単にメールボックスを復元できます。それでは、メールボックス復元の実行方法についてご説明します。
シナリオ: 誤ってユーザーをメールボックスごと削除した場合
まず、削除されたユーザーがオンプレミスで管理されていたか、それともクラウドで管理されていたかを把握する必要があります。
ユーザーがクラウドで管理されていた場合
ユーザーがクラウドで管理されていた (つまりオンプレミスの Active Directory から同期していない) 場合、管理ポータル (http://portal.office.com) から復元できます。[ユーザー]、[削除済みのユーザー] の順に選択すると、「ユーザーを復元する」というオプションが右下に表示されます。
オンプレミスの AD から同期されていた場合
ユーザー アカウントがオンプレミスから同期されている場合、オンプレミスでユーザーを復元する必要があります。メールボックスへの再接続は自動的に行われます。
重要な注意事項: オンプレミスでユーザーを再作成すると、復元処理に使用されるグローバル一意識別子 (GUID) が変わるため、まったく同一にはなりません。 |
削除されたユーザーを復元する詳しい方法については、http://support.microsoft.com/kb/2619308の記事を参照してください。記載されている操作を実行すれば、ユーザーを復元できます。
この操作では復元できない場合
「削除済みアイテム フォルダーへ移動」の操作で削除した場合でも、ユーザー アカウントを復元できないことがあります。その例としては、ユーザー アカウントが破損している場合、ユーザー アカウントが永続的に削除されている場合、ユーザーは既に退職しているが、そのメールボックスが業務に関連したメールボックスとして使用されていて新しいユーザーからアクセスできる必要がある場合などがあります。
このような場合には、New-MailboxRestoreRequest コマンドレットを使用できます。このコマンドレットでは、あるユーザーからデータをマージしたり、メールボックスを他のユーザーにアーカイブしたり、アクティブなメールボックスをアーカイブしたりといったことが可能です。前述の復元手順 (こちらが最良の方法です) と異なり、New-MailboxRestoreRequest を使用する場合は、「削除済みアイテム フォルダーへ移動」を行ったメールボックスから、別のアクティブなメールボックスやアーカイブ メールボックスにデータをマージします。
この手法のメリット
以前は、ユーザーとメールボックスの両方を復元できなかった場合、メールボックスを物理的に削除するというサポート対象外の手順を実行する必要がありました。この手順は信頼性が低く、また SharePoint や Lync などの他のサービスに影響が波及するおそれがあるだけでなく、この手順が成功しなかった場合には、非常に限定的な対応しかできなくなり、最終的にはサポートに問い合わせなくてはなりません。
重要な注意事項: Get-RemovedMailbox および New-Mailbox –RemovedMailbox を含め、従来のメールボックス復元手法は今後無効化される予定です。この手法が使用できなくなるときに備えて、新しいオプションの使用方法を把握しておくことをお勧めします。
新しいオプションの使用方法
この手法は、メールボックスを持つユーザーを新規作成し、データをマージするだけで完了です。メールボックスを持つユーザーを作成する方法は、DirSync を使用する場合と Microsoft Online ポータルを使用する場合で異なります。
1. ユーザーとメールボックスを作成します。
DirSync を使用する場合
オンプレミスの Exchange 管理ツールからユーザーとリモート メールボックスを作成します。
ディレクトリの同期を強制実行します。
DirSync を使用しない場合
Microsoft Online ポータル (http://portal.office.com) にログインします。
ユーザーを作成し、ライセンスを付与します。
2. コマンドレットを実行してアカウントをマージします。この操作は、Exchange Online に接続されている PowerShell から実行します。
A) PowerShell を Exchange Online に接続します。詳しい方法については http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj984289(v=exchg.150).aspxを参照してください。
B) 次のコマンドを実行し、「削除済みアイテム フォルダーへ移動」操作から復元するメールボックスの GUID を取得します。
Get-Mailbox -SoftDeletedMailbox
C) 次のようなコマンドレットを実行してメールボックスを復元します。
New-MailboxRestoreRequest -SourceMailbox <手順 2B で取得した GUID> -TargetMailbox <手順 1 で取得した GUID>
注 1: 復元元または復元先のメールボックスがアーカイブである場合、次のスイッチを使用します。 (-SourceIsArchiveおよび/または -TargetIsArchive) |
注 2: 手順 2C の値には、アカウントの GUID を含める必要がありますが、SMTP アドレスや UPN の値も使用できます。復元元と復元先の混同や競合が発生する可能性を低減するために、マイクロソフトでは GUID の使用をお勧めしています。 |
制限事項
このマージ機能にはいくつかの制限事項があります。たとえば、復元元がアクティブなメールボックスである場合、ここからデータをマージすることはできません。Jane というユーザーが、ライセンスを保持した状態で電子メールを使用しているとします。新しい手法では Jane のデータを Tom のメールボックスにマージできません。この新しい手順はバックアップや複製を目的としたものではなく、復元のみを目的として作成されています。
また、メールボックスが物理的に削除された場合もこのツールは使用できません。Office 365 から手動でユーザー アカウントを削除し、その後ごみ箱からユーザーを削除した場合、メールボックスは物理的に削除されます。この場合には、先に簡単に述べたとおり、復元できない可能性があります。繰り返しになりますが、このマージの手法は「削除済みアイテム フォルダーへ移動」を行ったメールボックスが通常の復元オプションでは復元できない場合を目的としたものです。
Timothy Heeney