対象: Office 365 Enterprise, Office 365 Small Business, Office 365 Midsize Business
(このブログは Japan Office Official Blog に 2012 年 12 月 10 日に投稿された記事のクロスポストです。)
Jeremy_MSFT
Jul 17 2012, 16:07 P7
Office 365 ProPlus は、構成やインストール、更新を行う際のエクスペリエンスを、管理者が使い慣れたプロセスやツールで制御できるよう設計されています。Office 365 ProPlus はアプリケーション仮想化に基づいているため、企業のソフトウェア配布やスクリプトベースのプロセスを用いた構成管理を可能にする、数多くの新しいツールが開発されています。中には、ユーザーが office365.com にログインして、各自が使用する Office プログラムをインターネットから直接インストールすることを許可している企業もあるでしょう。ただし、そのためには、ユーザーがこの作業を不自由なく行えることと、自身のコンピューターにアプリケーションをインストールする権限を与えられていることが必要です。個人所有デバイスや自宅 PC にインストールする Office 365 ユーザーにとっては、このような方法が一般的かもしれませんが、Windows の標準ユーザーとしてプロビジョニングされる管理環境やロックダウン環境の要件には適さない場合もあります。
Office 365 ProPlus では、ユーザーが各自でインストールを行わない、あるいは行えない環境でも、IT 管理者がユーザーに代わって Office のインストールを実行できます。イメージベースでの Windows インストールにも、あるいは、ネットワークやソフトウェア配布、ローカル メディア、Office 365 サービスを利用したスタンドアロンのインストールにも、どちらにも対応可能です。Office 365 ProPlus は既定で自動更新を受信しますが、IT 担当者は Office プログラムの自動更新を無効にして、テスト済みの承認された Office ビルドのみを展開することもできます。クイック実行のインストールテクノロジとツールセットによって、Office 365 ProPlus のインストール方法や更新方法、インストール メディアの格納場所を柔軟かつ自在に管理できるようになります。
管理者向けのクイック実行コンポーネントとツール
ここまで述べてきましたが、システム管理担当者の皆様がまず知りたいのは「その機能はどこで入手できるのか」という点でしょう。Office 365 ProPlus は、公開されたサービスによってインストール ファイルをオンラインに格納する設計となっています。これにより、初回インストールや継続的なソフトウェア更新のためのオンラインインストール ソースを利用して、ユーザー自身がインストールを行い、管理された形で展開することができます。
インストール ファイルをダウンロードして、企業のソフトウェア配布ツールまたはオペレーティング システム展開ツールにインポートすることができ、また、Office 展開ツール (英語)により Office 365 ProPlus を自動的に展開することも可能です。Office 365 ProPlus の管理された展開あるいは「プッシュ型」の展開を実行するには、3 つの主要コンポーネントが必要です。
1. Office 365 ProPlus インストール ファイル
2. インストール プロセスを初期化する setup.exe ブートストラップ
3. Office のダウンロードやインストールの方法や場所を管理する構成 XML ファイル
Office 展開ツールの内容
セットアップおよび構成 XML ツールは Office 展開ツール (英語)としてまとめてパッケージ化され、Microsoft ダウンロード センターから入手できます。setup.exe では、主に 2 つのタスクを実行します。Office 365 ProPlus、Visio、および Project プログラムを /downloadコマンドでローカルのファイルの場所にダウンロードするタスクと、/configureコマンドで Office プログラムのインストール方法を制御するタスクです。いずれのコマンドも構成ファイルを使用して、何をダウンロードするか、Office をどのように構成するかを管理します。
構成 XML ファイルでは、何をダウンロードするか、対象となるコンピューターに Office クイック実行をどのように適用するかを管理します。http://officecdn.microsoft.com/サイトからのインストール ソースのダウンロードに関連するコントロールとしては、以下のものが挙げられます。メモ: すべてのコントロールは、大文字と小文字が区別されます。
オプション | 説明 | 構文例 |
Add | 親となるコントロール。ダウンロードするソース、アーキテクチャ、製品、および言語を指定します。 | CDN から取得: <Product ID="O365ProPlusRetail"> <Language ID="en-us" /> </Product> </Add>
ローカル ネットワークから取得: <Add SourcePath="\\Server\Share\Office\" Version=”15.0.4128.1014” OfficeClientEdition="32" > <Product ID="O365ProPlusRetail"> <Language ID="en-us" /> </Product> </Add> |
Product | <Add> コマンドでダウンロードの対象となる製品。<Add> コントロールの下では複数の製品を入れ子にでき、<Product> コントロールの下では複数の言語を入れ子にできます。 | Office 365 ProPlus をダウンロード: <Product ID="O365ProPlusRetail"> <Language ID="en-us" /> </Product> <Product ID="VisioProRetail"> <Language ID=”ja-jp" /> </Product> <Product ID="ProjectProRetail"> <Language ID=”es-es" /> </Product> |
SourcePath | Office のダウンロード先となる場所。指定されない場合、ダウンロードされたコンテンツは setup.exe と同じフォルダーに保存されます。 | <Add SourcePath="\\Server\Share\Office\" OfficeClientEdition="32" > <Add SourcePath="%Applications%\Office\" OfficeClientEdition="32" > <Add SourcePath="C:\Source\Office\" OfficeClientEdition="32" > <Add SourcePath="http://source. contoso.com/Office" OfficeClientEdition="32" > |
OfficeClientEdition | ダウンロードする製品のアーキテクチャを、32 ビットまたは 64 ビットで指定します。メモ: 新しいバージョンの Office でも、推奨されるアーキテクチャは 32 ビットです。異なるアーキテクチャが混在した状態でのインストールは許可されません。32 ビット版の Office がシステムにインストール済みの場合、64 ビット版のクイック実行パッケージをインストールすることはできません。その逆も同様です。 | <Add SourcePath="\\Server\Share\Office\" OfficeClientEdition="32" > または: OfficeClientEdition="32" OfficeClientEdition="64" |
Language | クイック実行パッケージでダウンロードする言語 DAT ファイルを指定します。 | <Language ID=”ja-jp" /> <Language ID=”es-es" /> <Language ID="en-us" /> <Language ID="fr-fr" /> |
Version | <Add> コントロールの一部として使用され、ダウンロードするバージョンを指定します。指定されない場合、setup.exe では最新のビルドをダウンロードします。使用できるバージョン番号は、将来的にはサポート技術情報に掲載される予定です。 | <Add SourcePath="\\Server\Share\Office\" Version=”15.0.4128.1014” OfficeClientEdition="32" > |
クイック実行インストールソースのダウンロード
クイック実行ビルドは Office 365 からダウンロードして使用することができます。管理者は構成 XML ファイルで、ダウンロードするアーキテクチャ (x86 または x64)、言語、およびバージョン番号を指定できます。以下では、Office 365 ProPlus のインストール ファイルをサービスからダウンロードするプロセスについて、スクリーンショットを交えてご説明します。
セットアップツールとコマンドラインの使用方法
XML ファイルの作成には、Office のダウンロード、インストール、およびアンインストールに特化したコマンドを使用します。例として、以下に download.xml という名前の XML を示します。ここでは、Office 365 ProPlus プレビューと Visio Pro プレビューの最新のクイック実行ビルドをダウンロードします。
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="32" >
<Product ID="O365ProPlusRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="VisioProRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
‘setup.exe /download download.xml’ コマンド実行時の進行の様子
Office フォルダーがダウンロードされ、Office Deployment Tool フォルダーに適用される
Office 365 ProPlus ビルドは、DAT および CAB ファイルとして setup.exe のディレクトリまたは SourcePath で指定された場所の ..\data\versionnumber フォルダーに格納される
管理された IT 環境では、IT 管理者は隔週程度でスケジューリングされたタスクを自動的に実行させ、最新の Office 365 ProPlus ビルドをダウンロードすることができます。ここでの利点は、新しいビルドには必ず最新のソフトウェア更新プログラムが含まれているので、MSI パッケージのように \updates フォルダーに追加する必要がないことです。こうして既にビルドに組み込まれているため、初回リリースのビルドのインストール所要時間は、以降のビルドとさほど変わりません。これは、数多くの PC をタスク シーケンスベースのセットアップでビルドする場合、あるいは、リリース サイクル途中の製品を RTM ビルドと同様にすばやくインストールしたい場合に有効です。Windows イメージングをご利用の皆様の中にも同じようにお考えの方もいるでしょうが、私自身、この機能をもっと早く利用したかったと思いますし、タスク シーケンスにインストールする他のコンポーネントも同じく更新できるようになればと願っています。なぜなら、サービスパックや 10 を超える追加のソフトウェア更新プログラムを適用しようとすると、MSI ベースのインストールの速度はきわめて遅くなるからです。
また、構成 XML ファイルでビルド番号を指定すれば、必要なビルドを手動でダウンロードすることもできます。ビルド番号が指定されなかった場合、ダウンロードコマンドでは Office 365 ProPlus の最新の x86 ビルドがダウンロードされます。
Active Directory のグループポリシーによる構成テンプレートの展開と適用
セットアップから少し話は逸れますが、インストール後の構成についてお話することにしましょう。いずれのバージョンの Office を展開する場合でも、事前にグループ ポリシー構成を決定し、実装しておくことが理想的です。また、クイック実行を利用する場合、Office のセットアップ方法に関して構成変更を行うにはグループポリシーが必要です。
Office 365 ProPlus は Active Directory のグループ ポリシー構成管理と連携して機能するよう設計されています。Office 365 ProPlus のセットアップを管理する構成 XML ファイルでは、少数のコントロールのみ使用可能ですが、これとは別に、クイック実行のインストールとランタイムの構成管理を微調整するためにはグループ ポリシーが必要となります。グループ ポリシーでは、Office 365 ProPlus サービス用の設定を追加して、ローミング設定へのアクセス方法を管理したり、ソフトウェア更新プログラムの動作を制御したり、ファイル格納に使用できるオンラインサービスを特定したりするなど、数千にも及ぶ設定が可能です。
Windows のローカルグループポリシーエディター
また、グループ ポリシーではセキュリティ設定の構成が行えるほか、Office 365 ProPlus および Office Professional Plus 2013 の新しいテレメトリ機能でクライアントのパフォーマンス データをどのようにキャプチャおよびレポートするかを構成することもできます。さらに、新しいテレメトリ機能でグループポリシーを使用して、Office アドインの実行をブロックしたり有効にしたりすることも可能です。Microsoft ダウンロード センターでは、Office 2013 管理者テンプレート ファイル (ADMX/ADML) (英語)をダウンロードすることができます。これらのファイルは、Office Professional Plus 2013 と Office 365 ProPlus パッケージのどちらにも適用できます。