対象: 新Office365 Office 365 Enterprise, Office 365 Midsize Business
(この記事は 2014 年 2 月 13 日に Office Blog に掲載された記事の翻訳です)
投稿者: Office 365 チーム、投稿日: 2014 年 2 月 13 日
マイクロソフトは 2013 年に、エンタープライズクラスの信頼性とスパム/マルウェア対策機能を提供する Exchange Online Protection (EOP)をリリースしました。リリース後には、スパム管理機能の強化や、ドメイン/ユーザー/グループ単位でのポリシーのカスタマイズ機能の追加などが行われ、つい先日、リリースから 1 周年を迎えました。今回の記事では、1 周年と同時に発表された以下の追加機能についてご紹介します。
• ディレクトリベースのエッジ ブロック (DBEB)
• Office 365 に追加できるドメイン数の増加
• メッセージの追跡データの保持期間を 90 日間に延長
• メール保護レポート機能の強化
• リモート PowerShell
• OWA の迷惑メール報告機能
これらは今回の新機能のごく一部であり、Microsoft Exchange Conference (MEC) 2014 (英語)において、さらに多くの新機能が発表される予定です。後日追加される機能については、同カンファレンスの開催日前後に「パート 2」としてこのブログでご紹介します。それでは、今回ご紹介する新機能について見ていきましょう。
ディレクトリベースのエッジ ブロック (DBEB)
EHLO ブログの最近の記事でも取り上げられていますが、ディレクトリベースのエッジ ブロック (DBEB)を使用すると、無効な受信者に送信されたメッセージをサービス ネットワーク境界で拒否することができます。管理者は、メールが有効な受信者を Azure Active Directory に追加したり、Azure Active Directory 内に存在しないメール アドレスを宛先とするメッセージをすべてブロックしたりすることができます。
Office 365 に追加できるドメイン数の増加
Office 365 で 1 つのテナントに追加できるドメイン数が増えました。以前は最大 600 ドメインでしたが、今後は 900 ドメインになります。この変更にあたり、管理者に適用作業を行っていただく必要は一切ありません。今後は、Office 365 管理ポータルまたはリモート PowerShell から最大 900 のドメインを追加することができます。
メッセージの追跡データの保持期間を 90 日間に延長
Exchange Online Protection および Exchange Online の管理者は、過去 90 日間のメッセージ追跡データを保持できるようになりました。この機能を利用するには、Exchange 管理センターで [メールフロー]、[メッセージ追跡] の順にクリックします。
過去 7 日間に送信されたメッセージを検索する場合、結果は直ちに表示されますが、それより古いメッセージを検索する場合には、延長メッセージ追跡要求を送信する必要があります。日付の設定オプションを選択し、過去 90 日間の任意の日付の範囲を指定します。
メッセージ追跡ページで、過去 90 日間までの日付の範囲を指定すると、その期間の追跡データが生成されます。
日付の範囲だけでなく、その他の検索条件 (送信者、受信者、状態、メッセージ ID、送信者のクライアント IP アドレス) を指定して、延長メッセージ追跡を行うこともできます。
新しい延長メッセージ追跡要求を作成する際には、わかりやすいレポート タイトルを指定することができます。追跡の完了時にメール通知が必要な場合は、メール アドレスを入力します。
延長でメッセージの追跡要求を作成する際、わかりやすいレポート タイトルと、要求の完了通知を受信するメール アドレスを指定することができます。
さらに、概要リスト レポートと詳細メッセージ追跡レポートのどちらを受け取るかを選択することもできます。
• 概要リスト レポート:追跡したメッセージの受信時刻、配信状況、件名、バイト数など、基本的な情報のみが��まれ���レポートです。
• 詳細メッセージ追跡レポート:概要リスト レポートの内容よりさらに詳しい情報が必要な場合は、イベント ログを含む詳細メッセージ追跡レポートを生成できます。詳細メッセージ追跡レポートを生成するには、新しいメッセージ追跡要求を作成する際に、[メッセージイベントおよびルーティングの詳細をレポートに含める]チェック ボックスをオンにします。このレポートには、メッセージ追跡ログに含まれる主要なイベントとその詳細がすべて含まれます。このため、メッセージを詳しく調査したい��合に適しています。
Exchange Online 管理者がメッセージの配信状況を調査したい場合は、配信レポートではなく詳細メッセージ追跡レポートを使用することをお勧めします。配信レポートはエンド ユーザー向けで、最近のメッセージの情報しか提供しません。
通常、追跡要求は数時間で完了します。複数の要求を送信した場合は、Exchange 管理センターの [保留中または完了した追跡]ページに送信済みの要求とその状態が表示されます。ここで、要求の処理状況を簡単にチェックできます。
Exchange 管理センターの [保留中または完了した追跡]ページで、延長メッセージ追跡要求の処理状況を簡単にチェックできます。
メッセージ追跡要求の完了後にその結果を CSV ファイルで確認したい場合は、右側のナビゲーションの [レポートのダウンロード]をクリックします。
メール保護レポート機能の強化
2014 年の春以降、メール保護レポートに、Exchange Online および Exchange Online Protection の管理者を対象とするインタラクティブなレポート機能が追加されます。メール保護レポートには、これまでと同様、Office 365 管理センターからアクセスできます。[送信済みスパム] など、レポートのリンクをクリックすると、新しいウィンドウにインタラクティブなグラフと概要情報が表示されます。
スパム検出レポートなどのレポートに、インタラクティブなグラフと概要情報が追加されました。
日付の範囲を指定して、過去 90 日間までの概要データを表示できます。また、ビューを切り替えて、指定した条件に一致するメッセージだけを表示することもできます。ビューを切り替えるには、グラフの右側にある系列スライサーの設定を変更します。たとえば、コンテンツ フィルターで検出されたスパムだけを表示したい場合は、[フィルター済コンテンツ] チェック ボックスをオンにします。一部のレポートでは、グラフの上に表示されているパラメーターを使って、条件をさらに絞り込むことができます。
詳細メッセージ データを確認したい場合は、グラフ内の特定のデータ ポイントをクリックします。ポイントを選択すると、グラフの下の表にメッセージの詳細が表示されます。1 ページ以内に表示できないレコードがある場合は、詳細メッセージを切り替えることで確認できます。
スパム検出レポートのグラフ上のポイントをクリックすると、詳細が表示されます。
7 日以上前のメッセージの詳細データもダウンロードできます。7 日以上前のデータは、グラフの背景が薄い灰色になっています。7 日以上前のデータの概要グラフでデータ ポイントを選択すると、ページに [レポートのリクエスト]リンクが表示されます。
スパム検出レポートのグラフで 7 日以上前のポイントをクリックすると、拡張詳細レポートを要求するリンクが表示されます。
[レポートのリクエスト] リンクをクリックすると、新しいページが開きます。ここで、通知情報を指定したり、要求をさらに絞り込んだりすることができます。
グラフから拡張レポートを生成する際、必要な情報や、レポートの完了時に通知を受け取るかどうかを指定することができます。
[Submit] をクリックすると、クエリが送信されます。通知の受信者を指定した場合は、要求の完了時にその受信者宛てにメール通知が送信されます。要求の状態を確認するには、メイン ページの [Report request queue] リンクをクリックします。すると、[pending or completed queries] ページに、未処理の要求の状態が表示されます。ここで、保留中の要求をキャンセルしたり、完了した要求をダウンロードしたりすることができます。
[pending or completed queries] ページで、拡張レポート要求の状態を確認できます。
リモート PowerShell
現在、新しい更新プログラムの展開中であり、これが完了すると、EOP の標準テナントで、リモート PowerShell を使用して EOP の設定を管理できるようになります。また、PowerShell の拡張スクリプト作成機能を使用して、幅広い管理タスクを自動化することも可能になります。Exchange Online Protection の PowerShell の詳細については、こちら (英語) をご覧ください。
リモート PowerShell を使用することで、たとえば次のような作業を実行できます。
• トランスポート ルールの追加、変更
• コネクタの追加、変更
• すべてのトランスポート ルールの中から、特定のドメインまたはユーザーを参照するルールを検出
• マルウェア対策およびスパム対策フィルタリング設定の変更
• ユーザーとグループの管理 (近日公開予定)
EOP の標準テナントで、リモート Windows PowerShell を使って EOP の設定を管理できます。
OWA の迷惑メール報告機能
OWA の迷惑メール報告機能が強化されました。これにより、受信トレイに誤って入ってしまった迷惑メールや迷惑メール フォルダーに振り分けられてしまった正常なメールを本来格納されるべきフォルダーに移動し、その報告をマイクロソフトに送信する操作を、数回のクリックで行えるようになります。Office 365 のメール保護サービスである Exchange Online Protection (EOP) の迷惑メール フィルターは、OWA からの迷惑メール報告に基づいて精度が向上します。これにより、受信トレイに誤って入ってしまう迷惑メールの数が減少します。
報告を行うには、メッセージの右上隅の [...] をクリックし、[mark as junk] または [mark as not junk] のいずれかを選択します。メッセージを右クリックしても、同じオプションが表示されます (デスクトップ版 OWA のみ)。
コンピューター上の OWA から、迷惑メールを簡単に報告できます。
各種デバイス向けの OWA でも、迷惑メールを簡単に報告できます。
MEC 2014 の開催日の前に、さらに多くの新機能と強化機能が発表されます。その一部である以下の機能は、「パート 2」としてこのブログでご紹介する予定です。
• エンド ユーザーによる検疫へのアクセス
• IPv6 の拡張サポート
• DomainKeys Identified Mail (DKIM)
• サブドメインのマッチング
このロードマップ情報の大部分は、TechNet の「FOPE と EOP の機能比較」ページに公開されています。
今回ご紹介した強化機能をお客様の EOP テナントでぜひご活用ください。また、MEC 2014 への登録がまだお済みでない場合や、強化機能についてじかに説明を聞きたい場合は、今すぐ www.iammec.com (英語) からご登録ください。
- Shobhit Sahay